ユハク(yuhaku)はレザーの品質とデザイン性が非常に高いのがポイントです。全国のデパートで取り扱いがあるため手に取って確認しやすいです。価格は他の日本製ブランドより高めですね。

Google検索だと「ダサい」「評判悪い」などと検索されることもあるようですが、実際はどうなのか。詳しく解説し、財布のレビューもしてみたいと思います。
ユハクの解説
「まるで色鮮やかに塗を重ねた陶器のような存在感」
これは今回本稿を執筆するに当たり見返した、初めて私自身がyuhakuを見た時のメモです。そしてその初めて見た時の印象と驚きは、今も薄れることはありません。
革財布ブランドとしてyuhaku(2009年設立)は後発組であり、日本には素晴らしい品質の国内ブランドが他にもたくさんありますが、そんな中でもyuhakuは唯一無二の存在感を放ち続けています。
■ yuhaku最大の特徴
その存在感の源となっているのは、やはりなんといっても深みのあるグラデーションがかかった染色です。特にyuhakuの染色との相性の良さが抜群とされるカーフレザー(生後6ヶ月以下の仔牛の革でキメが細かいのが特徴)を用いたシリーズでは、息を呑むような色合いが表現されます。

他方コードバンなどにおいても、多くの国内ブランドが採用し国内最高品質と謳われるレーテルオガワ製の革をベースとしていますが、そこに更にyuhakuの染色を重ねることで、やはり一目見てyuhakuとわかる仕上げとなっています。
このグラデーション・染色は、元々「ユウハク」の雅号でアート活動をしていた創業者・仲垣氏が絵画に用いていた技法を転用し、シューズやオーダーメイド革製品染色の研究を経て、yuhakuブランドとして実を結んだもの。

一つ一つ手作業で施され手間暇がかかっているのは一目瞭然ですが、それが個体ごとの個性に繋がるのはもちろんのこと、結果として染色の際に廃液・汚水が出ることが無く、環境にも優しくなっているとのことです。
また、このグラデーションは、最終的には落ち着いた色合いへと経年変化を見せていくそうです。
■ バックオーダーを抱えるほどの人気
先日横浜のyuhaku本社へ伺った際のお話では、工房には現在10人ほどの職人さんが在籍されているそうですが、手染めのために注文が捌ききれておらず、むしろ生産量を抑えているとのことでした。

大量生産の時代に、手間暇のかかる製法を守っていることが現在の人気に繋がっているのだと感じます。
価格帯としてはお手頃とは言いませんが、絵画的技法を用いたyuhakuの染めは圧倒的に美しく、個性的なプレゼントとしてもおすすめです。
YVE110長財布・魂のレビュー
今回のレビューは、まさに「吸い込まれそうな」と言う表現がぴったりなほどの美しさを持つ、ユハクのYVE110長財布です。
■ 透明感のある光沢
まずはこちらの写真をご覧下さい。深みのあるブルーの濃淡が混ざり合い、まるで海を見ているような色合いは、メーカーが「透明感のある光沢」と言うのも頷けます。

おそらく、写真の下に敢えて少し写しこんだ縫い目を隠せば、海の写真と言われてもわからないかもしれませんね。写真は明るい照明の下で撮影したものですが、明るいところではより鮮やかに、暗いところでは深みのある表情を見せます。
■ プレゼントにしたらきっと驚かれる
今回の注文では、茶色のプラ袋に赤いリボンの包装でした。これ自体はよくある感じのラッピングですね。特別すごいものが送られてきたという感じはありません。

「yuhaku」と銀の箔押しがされた手張りの合わせ箱も、悪くない箱ですが、財布の値段から考えると「普通」といった印象です。ただ、蓋を開けてみると、薄い不織布越しにブルーの本体が透けていて、少し期待感が高まりました。

そして、いよいよ本体を取り出してみます。中から出てきたのは、過去に見たことがないほど美しい色合いの財布です。私は自分で注文したので、どんなものが届くのかは事前にわかっていたわけですが、それでも一瞬息をのみました。

上の写真は、太陽光下で撮影したものです。ライトの当たり具合によって、かなり表情が変わるので、お伝えするのが難しいところがありますが、実際の見た目に近いと思います。
■ グレージング加工で美しく輝くイタリア産ベビーカーフ
このウォレットに使用されているのは、牛革の中でも、赤ちゃんの肌のようにキメ細かく、傷も少ないとされるベビーカーフ(通常生後6ヶ月以内の牛とされます)。これを手染めした後、磨き上げる(グレージング)ことで、写真のような美しい光沢が得られます。

ちなみにグラデーションの美しい絵画のような染加工は、元々「絵」を描いていたユハクの職人さんの手によるものなのだそうです。外装と対照的な、しっとりと落ち着いた趣の内装には国産牛革が使用されています。

どこから見ても美しいですね。もちろん、サイドのコバ部分も、綺麗に処理されていました。どこにも妥協が見られないウォレットです。

■ 長財布としての全ての機能をコンパクトに実現
美しいだけでなく、実際の使い勝手も申し分ありません。まずマチ付きの札入れが2つ。紙幣約30枚を収納可能です。カードポケットは6つ付いていますが、革財布によくあるようにキツ目ではなく、また革も滑りが良いため、例えばSUICAなど最初から非常にスムーズに出し入れができます。このジャストフィット感は特筆に値するでしょう。

札入れの反対側(カード入れの下側)には、レシートなどを入れておける横長ポケットが2つあります。

小銭入れは、札入れ部分の表側にまるで埋め込まれているように造り付けられています。全体フォルムを薄くする為のかなり手のこんだ細工で、ファスナーさえも細身で且つ使い易いものが厳選されているとのこと。こだわりに頭が下がります。

しかもこの薄さを実現しながら、小銭入れにはマチが付いています。使い易さが見事に両立されていて、機能面では最も感動を覚えた部分です。

■ 見事なサイズ感
手に持つと、かなり豪華で重厚な雰囲気なので気付きませんでしたが、非常にコンパクトに造られています。下の写真は、右側がココマイスターのジョージブライドルロイヤルウォレット。当サイトでも多くレビューしているココマイスターウォレットの中でもかなりコンパクトな一品ですが、こうやって並べてみると更にコンパクトなのが一目瞭然です。

厚みを比べてみたところです。同じくジョージブライドル(右側)は、厚み2cmとココマイスターの中では最薄の部類ですが、それと同等の厚みと言えるでしょう。(ユハクは自然に置くとふわっと浮きますので、少し手で抑えて比べてみました。)

こちらは、やはりココマイスターの「ブライドル・インペリアル・ウォレット」と並べてみたところです。やはりサイズが一周り小さいのですが、自然に置いた状態ではインペリアルウォレットは蓋が開いてしまうのに比べて、ユハクは閉じています。実際に手に取っても、ユハクの方がしなやかな印象を受けます。

■ 美しく、コンパクトで、機能的
ユハク・ロングウォレットは、美しさ・コンパクト性・機能性の3拍子が揃った財布だと言えるでしょう。特にコンパクト性には徹底したこだわりを感じる、まさにスタイリッシュな一品です。
総評

